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東生駒の家|atelier thu | 兵庫、神戸の建築設計事務所

Project Name

東生駒の家





Location奈良県
Main use住宅
Structur木造
Building area112.61㎥

東生駒は生駒山地や矢田丘陵などの山々に囲まれた山間にあり、所々に自然が残る。近鉄が宅地開発をし、近鉄奈良沿線で学園前と並ぶ高級住宅地である。計画地は沿線の北側、大規模な開発を逃れた小高い丘の中腹にあり、車1台がやっと通れるほどの急な坂道を北に上る。

敷地は南側の大半が傾斜地であり、北側にわずかに残された平地に小さな平屋の古家が建ち、敷地の北側には小さな緑地が残っていた。造成することもできず取り残されたような、この場所性を生かした計画ができないものかと考えた。

 

 

アウトドア好きの施主の要望は「ウッドデッキのある平屋で、ロフトを寝室にしたい」というものであった。残された平地は平屋で要望を満たすには小さく、一通り組み上げると2階建てのボリュームとなってしまう。そこでロフトの寝室を元に、各場所の床レベルを変化させることで高さのボリュームを抑えていくことにした。

 

 

道路側ファサード。玄関へは階段を登り、緑のトンネルを抜けていく。

 

玄関から寝室を見る。見え隠れする空間からは、変化する床の高さがうかがえる。

 

窓のない玄関には、階段上部のトップライトから柔らかい光が差し込む。

 

低い天井や地窓が北側の緑地に視線を誘導する。

 

全てに手が届きそうなスケール感。どこにいても家族の気配を感じることができる。

 

大黒柱を中心とした一体空間。台所に立つと椅子に座る人とちょうど目線が合う高さとなる。

 

この家で一番低い位置にある台所。窓からは北側の緑地の芽吹きを感じられる。

 

掃き出し窓を開けるとテラスと繋がり、南側の斜面へと続いていく。

 

地窓からは北側の緑地が、正面の窓からは表の通りの様子がうかがえる。

 

書斎から吹抜へ腰かけると、南側の斜面、振り向くと北側の緑がみえ、まるで丘の中腹に腰かけているような錯覚を覚える。

ダイニングの窓を開けると丘に沿って心地よい風が吹き、建物に遮られることなく北側へ流れていく、北側からは小鳥のさえずり、この辺りの主と思しき猫の気配が流れ込んでくる。

丘に寄り添う、内部空間と外部の地形が繋がっていくような建物となった。